象の背中/秋元 康
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勝手に採点 ☆☆☆☆


秋元康が書き下ろした話題作。


不動産会社で部長を勤め、仕事と愛人のために家庭を顧
みない主人公が、ある日突然末期ガンを宣告され、人生
の終わりを意識する。


延命処置を断り、残された時間を自分のやりたいことに
費やす決意を固め、自分探しが始まる・・・。


あまりに自分勝手な生き様は共感出来ない。


また、幼馴染や昔の恋人にはすぐに逢え、愛人の存在も
うやむやになるなど、全体的に安易にうまく収まるとこ
ろも違和感が残る。現実はこれほど甘くない。


短い生涯とはいえ、ここまで好き勝手やれれば本望だろう。


秋元氏はやはり多彩な才能に恵まれている。


本作も安易な結末に陥る穴はあるものの、ドラマ化や映画
化など話題にはこと欠かず、原作者としての名声も欲しい
まま。


ただ惜しむらくは、器用貧乏的な印象が拭えないこと。


こんな懸念を吹き飛ばすためにも、次回作は渾身の感動作
を期待したい。